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テクノロジーと心理学と、それとあとアート。自由に書きます。

強みを活かす、ということ。

自分の「ついついやっちゃうこと=強みの原石」がWeb診断で分かるツール、ストレングスファインダー。以下のような考えが元になっています。

  • 得意なことをしている人のほうが、従業員満足度や成果が統計上有意に高い
  • 苦手なことは、鍛えると少しはマシになるが、「自分の得意なこと」や「他人の得意なこと」にはどう頑張っても追いつけない
  • リソース(時間、体力、意志の力)は有限
  • なので、強みを知って、それを育てて、活用すべし

 

 

強みを活かすことの重要性やメリットを説いている方は多くいらっしゃいます。今日は、そういった方々の記事をまとめた私の秘蔵のメモから、名言をまとめて紹介します。

 

まずは、かの有名な経営学者の P.F.ドラッカーの言葉から。

何事かを成し遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない。できないことによって何かを行うことなど、到底できない。 誰でも自らの強みについてはよく分かっている。だが、たいていは間違っている。わかっているのはせいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。

自分の強みを活かすしかないが、正しく見つけることは実は難しい、というお話です。なんかもう、まさにおっしゃるとおりですって感じで、これ以上のコメントのしようがありません。

 

また、かの有名な犬のスヌーピーも。

配られたカードで勝負するしかないのさ…それがどういう意味であれ

配られていないカード(≒苦手なこと)が手元に無いことを嘆くよりも、手持ちのカード(≒得意なこと)で勝負することの大事さを教えてくれているように思います。

ストレングスファインダーは、そんな自分の手持ちのカード(自分の資質;ついついやっちゃうこと、強みの原石)が何なのかを、かなり正確に教えてくれます。

 

 

任天堂の元社長の岩田聡さん。コピーライターの糸井重里さんとの対談の中で、有限なリソースを得意なことに優先的に配分することの重要性を仰っています。

岩田
それで、けっきょくわたしは、
「自分たちは、なにが得意なのか。
 自分たちは、なにが苦手なのか。
 それをちゃんとわかって、
 自分たちの得意なことが活きるように、
 苦手なことが表面化しないような方向へ
 組織を導くのが経営だと思います」と、
たしか言ったと思います。

(中略) 

岩田
物事って、やった方がいいことの方が、
実際にやれることより絶対多いんですよ。
やったほうがいいよねっていうことが
山ほどあるんです。
だから、やった方がいいことを全部やると、
みんな倒れちゃうんです。
なので、オレたちはなにが得意なんだっけ、
ということを自覚したうえで、
「なには、なにより優先なのか」
をはっきりさせること。順番をつけること。
それが経営だと思いますって、
当時若造だったわたしは言ったんですけど、
じつは、いまも考え方はぜんぜん変わってません。

(中略)

岩田
苦しそうなことは、やめた方がいいんですよ。
だって、それは向いてないので。
 
糸井
苦しそうなこと、および、つまんないこと。
  

引用元: 「任天堂の岩田社長が遊びに来たので、みんなでご飯を食べながら話を聞いたのだ。 04 得意なことを伸ばすのが経営」ほぼ日刊イトイ新聞
https://www.1101.com/iwata/2007-09-05.html

岩田さんは、社長になられる前はプログラマーとして名を馳せていていました。有名なエピソードとしては、ゲーム「MOTHER2」の開発が難航しているときに、「今あるものを元に作り直すと二年かかる。私がイチから作り直したら半年で出来る」と仰って、見事にプロジェクトを立て直しされたことがあります。また、任天堂の社長に就任された後は「ゲーム人口の拡大」を謳い、ニンテンドーDSやWiiの立ち上げに携わっています。

そんな岩田さんは、プログラミングも経営も「最適化」という枠組みで捉えられていたそうです。そして経営では、「有限なリソースを最適に使うには得意なことにフォーカスする」という、ドラッカーと同じ考えに行き着かれたのが不思議というか、そこに何か普遍的な真理があるのかなあと感じてしまいます。

 

余談ですが、岩田さんの対談、上記の「ほぼ日」に加えて、任天堂のホームページでも「社長が訊く」というコーナーがあり、穏やかな雰囲気の中でゲームの企画・開発の裏話を分かりやすく訊き出されています。強みの話以外にも、普遍的で興味深いエピソードがいっぱいです。私は大ファンだったのですが、数年前に若くして鬼籍に入られてしまい、もう新作のゲームにも新作の対談にも触れられないのがただただ残念です。

 

 

最後に、マッキンゼー出身のお笑い芸人、石井てる美さんのインタビュー記事をご紹介します。

私がドラッカーさんについて語ること自体が恐縮なのですが、「強みを伸ばす」ことが、彼が人生を通じて言っていることのように感じます。できることを伸ばし、できることでしか勝てないという考え方ですよね。日本の小学校や企業では、できないことを克服することばかりに注目し、強みをどんどん伸ばしていける機会が少ないと思います。自分が得意なことは、やっていると楽しく、自然とやりたくなる。ドラッカーさんの子供のころは、好奇心を大切にして、自分のやりたいことをやりやすい環境だったのだと思います。だからこそ、「14歳にして政治はやらないと悟った」なんて言えるのだと思いました。

(中略)

私には姉がいて、彼女は子供のころは大人しい性格でした。日本では「子供は明るく元気良く」が良しとされるため、母は口数の少ない姉を心配していました。でも、海外にいた時に現地の先生が「それの何がいけないんですか? 皆それぞれの良さがあるのだから」と言ったそうです。すごく安心したと母親が言っていました。一つの「こうあるべきだ」という型にはめようとする日本の教育と、それぞれの強みや個性を認めて伸ばす海外との違いが見えた気がします。

引用元:ドラッカーさんの「レールに乗らない」人生。私も…|出世ナビ|NIKKEI STYLE https://style.nikkei.com/article/DGXMZO03008320R30C16A5000001?channel=DF180320167084

 

実は、初めてこの記事を読んだとき、うるっときたことを良く覚えています。

 

私は、初対面の人が多い場に行って直ぐに打ち解けることも、何かをぱっと行動に移すことも、喋ることも苦手です。

特に、10代後半から20代の頃は、喋りのうまい明るい人がクラスの人気者で、就職活動でも「積極性」「コミュニケーションの力」をただひたすら問われる。そのときの私は、「喋りが苦手な自分には価値はない」と自分のことが嫌いになり、あるいは「苦手なことは努力と根性で頑張って何とかするしかない」と当然のように思っていました。

でも、どれだけノウハウ本を読んでも、経験を積んでも、得意な人には到底追いつけなくて満足な成果も出ず、「自分はなんてダメな人間なんだ」「まだまだ努力が足りないのか」と、自己嫌悪と疲労ばかりが増えていく日々を送っていました。 

 

20代の後半に、何かのきっかけでストレングスファインダーを受けました。その結果は、「活発性」「コミュニケーション」「社交性」「競争性」が下位資質でした。

「ああ、やっぱりな」という妙な納得感と、あまり見たくない事実を突きつけられた痛みとが入り混じった、不思議な感覚でした。

 

一方で、明らかになった下位資質は徐々に諦めへと変わり、「苦手なことを伸ばそうとしても仕方がない」と受け入れられるようになりました。また、上位資質に目を向けたときの「私にも意外と得意なことあるやん」という気付きと、「強みにフォーカスすべし」という考え方に随分と勇気づけられました。

 

あのときの私に、「それの何がいけないんですか?皆それぞれの良さがあるのだから」と教えてくれる人がいたら、どれだけ嬉しかっただろうか。個性を強みに変える術を身につけて、あのときの私、もしくは私と似たような境遇に遭っている人を笑顔にしたい。

そんな動機もあって、1年ほど前からストレングスファインダーの勉強を色々と始めました。今後、記事を徐々に増やしていきますので、こちらのブログに定期的に訪れてくださったら幸いです。

 

 

ちなみに、私の下位の資質に関しては、今ではこんな風にしのいでいます。

  • 「社交性」が必要な場には、そういう場が好きな仲の良い友達と行って繋いでもらう。(コバンザメ作戦)
  • 「コミュニケーション」が必要な場面では、事前の準備が可能であれば「枠組み・フレームワークに沿って整理する(学習欲×分析思考)」→「整理したものを客観的に見て、こうしたらもっと分かりやすくなるぞ、とブラッシュアップする(内省×着想×最上志向)」という感じで、話す内容をあらかじめ組み立てる。あるいは、図表が使えるときは、デザインの知識で分かりやすく見せる。
  • 「活発性」が必要な場面では、活発性の人と仲良くなっておき、早く動きたいときはその人についていく。
    私は、「活発のかつえ」こと、ゆかえさんに助けられています。

 

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さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0

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任天堂“驚き”を生む方程式

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