コンビニATMのアイデアとユーザー体験
私、コンビニではセブンイレブンが大好きです。
プライベートブランドの商品、例えば冷凍のアップルマンゴーとアールグレイのアイスティーがめっちゃ美味しいとかもあるのですが、特にATMが素晴らしい。
暗証番号や金額を入れるテンキーの部分、高級キーボードかよ!って思うくらい押し心地がイイです。適度にストロークが深く、カタカタと小気味良い音を奏でてくれます。調子に乗ってゼロを無駄にたくさん押したくなりますね。(残高不足でおろせなくなるけど)
取引のスタートと完了のときに鳴る音も、さりげなく心地よいです。
他のコンビニのATMでは、数字キーの押し心地が安物の電卓並だったり、お札の取り出し口が開いた瞬間から「ププーッ、ププーッ」と変な警告音が鳴ったりします。お札やカードの取り忘れならいざ知らず、いったい何が気に入らなくて音を鳴らしているのか。
近くに両方あったら迷わずセブンイレブンの方を選んでしまいます。
このATM、「さぞかし手がかかっているんやろうなー」と思ったら、実は製造コストに関しては他の機種と比べてめっちゃ安いことを最近知りました。
セブン銀行登場前の銀行ATMは一台800万円していた(無人店舗のは2000万)。そのため一台当たり1日の決済件数が100件割ると採算取れない。セブン銀行はNECとゼロから通帳と小銭機能を省いた200万円のATMを開発し、1日あたり70決済で利益が出るようにした。そして新生銀など他銀行のATMも代替するように。
— 久下玄 (@kugehajime) October 7, 2018
本体は低コストで作れるようにしつつも、ユーザー体験(UX)に関わるところは重点的に拘って作ったんやろうなあと毎回想像してしまいます。少し調べたら、やはり色々と意図して作られているようです。リンク先では音声ガイダンス機能に焦点を当てて紹介されており、視覚障がいのある方や、日本語以外の方に向けたユニバーサルデザイン(UD)を採用しているとのこと。
しかも、ご存知のかたも多いと思いますが、このビジネスモデル?運用モデル?がこれまた美しい。
コンビニレジの売上金をATMに入金するので、警備会社を使って現金を補充する回数が少なくて済み、その結果として運用コストと損益分岐点が下がる。かつ、レジに大量の現金を溜め込まずに済むようになり、安全になる。
「アイデアというのは、複数の問題を一気に解決するものである」
スーパーマリオやゼルダの伝説の生みの親、任天堂の宮本茂さんの名言のひとつです。私この言葉が大好きなのですが、セブン銀行のATMはまさにこの言葉を体現しているなあと思います。ストレングスファインダーで「着想」を持つ私としては、いつか、こういう「一石n鳥な見事なアイデア」を生み出せるようになりたいです。
ちなみに、宮本さんの上記の言葉、こちらの記事で詳しく取り上げられています。(昨日の記事でご紹介した、一連の対談の前半部分)
「任天堂の岩田社長が遊びに来たので、みんなでご飯を食べながら話を聞いたのだ。 01 アイデアというのはなにか?」ほぼ日刊イトイ新聞